2025年2月4日、北村功太(きたむらこうた)氏が自宅で急逝して話題を集めています。北村氏は1995年東京都生まれの29歳・若手実業家で、Habitat株式会社の創業社長です。
サウナ事業改革で業界をリードし、また中国市場開拓も手がけ、小島瑠璃子の夫としても注目されていました。しかし、主力のアプリは1年以上更新されない状態が続き、財務状況から会社経営の実態はボロボロだったのではないかとされています。
北村功太氏はサウナ業界の革命児〜会社は赤字ボロボロ経営の実態
北村氏は、青山学院大学在学中から起業家としての頭角を現し、デジタルマーケティング分野でキャリアを積んだ後、2020年にHabitat株式会社を設立し、社長に就任しました。
Habitat株式会社は温浴施設のデジタル変革を推進するスタートアップ企業です。東京都港区六本木を本拠地に事業を展開しています。
サウナ業界では「競争から共生へ」を掲げた北村氏の理念が評価され、全国300以上の施設に、同社のDXツールが導入されていました。北村氏が率いたHabitat社の主な取り組みは次のとおりです。
温浴施設DXツール「habitat」の開発
来店客の行動分析やCRM機能を統合し、伝統的な銭湯から高級サウナまで施設運営をデジタル化するツールです。
顧客行動データ分析(LTV計測・CRM設計)
会員制サブスクリプション管理機能
2023年時点で全国300施設以上に導入


会員制サウナ「CAVE by alpha」の運営
2021年には、“絶対に混雑しない”サウナ施設を東京都内にオープンさせました。これは完全予約制の個室型施設で、1時間4,000円の高級サウナ体験を提供しています。

トレーラーサウナ事業の展開
移動式サウナで地域の温浴文化を活性化することを目的に展開していました。
大手車両メーカー・サウナ機器メーカーと連携
地方創生・災害時支援を視野に入れた「フェーズフリー」設計
Habitat社はオリエンタルランド・イノベーションズなどから計1.3億円の資金調達に成功するなど、業界の注目を集めました。2024年4月には、ユナイテッド株式会社がHabitat社に出資していました。2022年にはJリーグ・浦和レッズのスポンサーとなる「ファミリーパートナー」契約を結び、スポーツ界との連携も拡大しました。
北村氏は、生前のインタビューでサウナに着眼した理由を次のように述べていました。
当時、投資家に出資してもらうために、2つの観点でビジネスアイディアを考えていました。
1つ目は、オフラインの領域で大きな市場を有していること。
2つ目は、社会で話題となっている分野であることです。
この2つの観点から考えると、温浴施設は市場が大きく、特にサウナは「ととのう」という言葉が流行語になるほど話題になっています。温浴施設のDXというビジネスは、非常に可能性があるということが、投資家に納得頂けたのかなと思います。〜NovolBA
Habitat株式会社は1.5億円の赤字を抱えるまでに経営が悪化
こうして華々しく業界の改革を打ち出してきましたが、2023年9月期の決算では、財務状況が悪化しており経営が懸念されていました。2024年8月の決算公告で資本金と資本金準備金額の減少を公告しました。会社の資本金を8分の1にする大幅減資に踏み切る経営判断をしていました。一般的に、減資は企業の財務状況を改善するためや企業の規模を縮小して資本に見合うようにするために行われます。
直近の財務状況では1.5億円の赤字、純資産1800万円と経営難が指摘されており、従業員への賃金未払いも発生していました。業界の革命児ともてはやされていましたが、経営の実態は火の車であったことが明らかです。
主力の「habitat」アプリが1年以上更新されない異常事態
Habitat社の主力である「habitat」アプリは、温浴施設のサブスクリプションサービスとして注目を集めました。
しかし時系列で振り返ると、思うような成果が上がらなかったことが窺えます。
「habitat」は、向こう1年半の間に6つの施設と提携開始を発表しました。サウナや温泉施設を日常的に利用できる新サービスとして、「サ活」・「ととのう」ブームもあり、ユーザーの期待が集まりました。
アプリ上で、実際に表示されているのは北海道と岡山県の2施設のみ。当初発表された6施設のうち4施設がサービスから消えている状態です。
アプリは、2024年1月15日から、約1年以上更新されない状況です。リリース時よりユーザーから最も期待が寄せられていた「サブスクリプション登録機能」が、なかなか実装されないと問題点が指摘されれていました。
アプリ紹介ページには「月間サブスク登録でお得に活用」と記載されていますが、実際には登録画面自体が見つかりません。クレジットカード決済機能は実装されているものの、定期購入システムが未整備の状態が続いています。残念ながら「habitat」アプリはリリース内容と実態が期乖離し、ユーザーの期待を裏切っている状態に陥っていました。
浦和レッズのスポンサー契約も2024年に解消
Habitat社の異変は、浦和レッズのスポンサー契約にも表れていました。2022年に、サッカーJ1リーグの浦和レッズとファミリーパートナー契約を締結しました。翌2023年のシーズンにもファミリーパートナーとしてHabitat社の名前が掲載されていましたが、2024年にはHabitat社の名前はファミリーパートナーの中にありませんでした。
北村氏は、幼少の頃から浦和のファンでファミリーパートナー契約に至ったことを明らかにしています。
「物心ついた頃には埼玉スタジアムに足を運んでおり、私自身の青春すべてを彩ったレッズとこういったお取り組みができることを大変嬉しく思います。弊社が持つDXにおけるソフトウェア開発力を通じて強く愛されるチーム作りに微力ながら貢献していければと思います」〜パートナー締結時の北村氏のコメント
2024年のパートナーになるには、2023年には話し合いをしていることが想定されます。つまり、Habitat社の事業がうまくいかなくなったタイミングとパートナー契約解消のタイミングが合致していることが推察できます。北村氏の夢が、道なかばで消えてしまったのかもしれません。
北村功太氏の中国市場への道のり〜前職時代から中国を視野に展開するも断念
北村氏の中国関連事業は、前職時代から中国進出企業向けデジタルマーケティング支援業務に携わり、Habitat株式会社の基礎が作られてきました。
学生時代に入社し、料理動画アプリ「DELISH KITCHEN」のデジタルマーケティングを担当。アプリダウンロード数800万達成に貢献。
株式会社バベル(2017-2020)
共同創業者兼COOとして、AI技術を活用した動画広告事業を展開。中国企業向けの広告制作にも携わる。
株式会社GO(2020-2021頃)
事業マネージャーとして新規事業開発を主導。中国進出企業向けのマーケティング支援を提供。
2023年に小島瑠璃子と結婚後、北村氏は「小島」姓に改姓。中国事業拡大に向け、中国共産党関係者との人脈構築を含む、現地パートナーとの協業を計画していました。しかし、世界情勢の悪化により中国進出の計画は頓挫してしまいました。その代わりに国内でのサウナ事業に注力することになりますが、日本国内の事業も頭打ちとなり、経営がさらに行き詰まっていったとされています。
北村功太氏の急逝とその影響
2025年2月4日、都内の自宅マンションで意識不明となり搬送されるも死亡が確認されました。直近の財務状況では1.5億円の赤字、純資産1800万円と経営難が指摘されており、従業員への賃金未払いも発生しているなか、これらが今回の事件との関連性が注目されています。
<追記>Habitat社が北村氏の逝去をホームページで公表
2月5日、Habitat株式会社は北村氏の逝去を受けて、ホームページに「代表取締役の逝去及び異動に関するお知らせ(訃報)」リリースを掲載しました。
「当社創業者であり代表取締役社長 北村功太 は、2025年2月4日、享年29歳で永眠いたしました。これに伴い、同日をもちまして代表取締役を退任いたしました」と報告した。ここに、生前のご厚誼に深く感謝いたしますとともに、謹んでお知らせ申し上げます」
北村氏の急逝により今後の事業の継続、継承が課題となっています。
<追記>Habitat社は六本木のオフィスを退去していた
2月6日、Habitat社はホームページで六本木のオフィスは退去済みで、移転していることを公表しました。北村氏の逝去を受け、取材陣がHabitat社のオフィスへ向かうと、すでにHabitat社は別の場所へ移転していることがわかりました。
※注意 登記先住所への訪問はお控えください。
現在、登記されている住所につきましては、すでに退去済みとなります。
現在は当社と関係のないテナント様が入られており、ご訪問等は現テナント様及び不動産会社様へのご迷惑となりますので、お控えください。
当社への連絡に関しては、当社HPのお問い合わせよりお願い申し上げます。今後、新住所への登記変更等を予定しております。
決定次第、速やかに公表させて頂きます。〜Habitatホームページより
Habitat社が入居していたHOUビルは2013年8月竣工の7階建てテナントビルです。六本木さくら坂に面しており、南北線・大江戸線の麻布十番駅から徒歩4分で、六本木ヒルズにも近い場所にありました。Habitat社は、今後、新しい住所で登記変更する予定とあるので、現時点では事業を存続させる意向であることが窺えます。
妻・小島瑠璃子もコメントを発表
2月5日、北村氏の妻である、タレントの小島瑠璃子もインスタグラムで、北村氏の死を受けてコメントを発表しました。
皆様へ
ご心配をおかけしており、申し訳ございません。
2月4日に夫が29歳で亡くなりました。亡くなった原因につきましては、詳細を控えさせていただきます。こんなにお騒がせしながらもご説明できないことを心苦しく思いますが、どうかお許しください。
夫は家族思いで優しく責任感の強い人でした。
子どもが産まれ、想像以上に可愛くてしょうがないと言っていました。
毎日私と子どもに愛情を伝えてくれていて、この後もずっと一緒に子どもの成長を見守っていけるものだと思っておりました。
突然の別れとなり、後悔がたくさんあります。
もっと子どもの将来について話したかった。
仕事の相談をしあったり、新しい面白いことを考えたかった。
一緒に食べたかったご飯もまだまだあります。
突然にそれが一つもできなくなったことを、未だ受け入れることができません。
昨日今日と、ご連絡を多くの方からいただいております。
今の私は皆様からの温かいお言葉に支えられています。
本当にありがとうございます。
また、生前に夫や夫婦共々お世話になった方々に、この場を借りて心より御礼を申し上げます。
このような悲しいご報告になりましたことを大変申し訳なく思っております。
本当に申し訳ございません。
葬儀は家族のみで執り行う予定ですが、後日改めてお世話になった皆様にご挨拶をする場を設けさせていただく予定です。
私たちには小さな子どももおります。
親族・家族を含め、取材等はどうかお控えいただきますよう、宜しくお願い申し上げます。
皆様からのご心配、温かいお言葉、本当にありがとうございます。
最後になりますが、この場を借りてこのようにコメントさせていただきますこと、御礼申し上げます。
今後とも、私たちを温かく見守っていただけますと幸いです。
小島瑠璃子
また続報がありましたら、追記していきます。
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